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この国のかたち〈3〉 (文春文庫)
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| ジャンル: | 歴史,日本史,西洋史,世界史
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| 人気ランキング: | 47578 位
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秀吉は「パラノイア」だったか?
第3巻は1990年から91年に書かれたもの。司馬67歳から68歳ごろである。
4巻以降は「司馬史観」の総まとめともいうべき迫力に満ちた論文が多く出てくるが、
ここまではわりと穏やかに、折々に思いついたテーマを散文的に綴っている。
その興味はひろく、知識は該博をきわめていて、どの稿を読んでも面白いが、
あえて言えば朝鮮や中国との関係についての稿がいくつか目に留まった。
司馬には欧米諸国と日本の文化比較についてほとんど言及がない。
かわりに中国や朝鮮との比較については、数多くの考察がある。
それは長い歴史のなかで、日本はこの両国から、
常に巨大な文明の影響を受けて続けてきたからである。
仏教、鉄、稲作、陶器、文字。
明治維新の思想的原動力=尊王攘夷も無論、彼らからの輸入品だ。
逆に日本が中国、朝鮮に与えたものはなんだったか。
倭寇であり、秀吉の朝鮮出兵であり、日韓併合である。
儒教文明を築いた中国、その忠実なる属邦であった朝鮮。
彼らからみた日本という国は、何千年もの間、礼を知らぬ未開の野蛮な国であった。
このあたりの認識は、司馬史観というよりも一般的な歴史認識に属するが、
今日の両国への言及において、司馬を読むときの大前提である。
こんな一文がある。
「晩年の秀吉の"病気"による禍害は、当時だけでなく、
こんにちまで隣邦のうらみとして続いているのである。
やりきれない思いがする。」p79
秀吉は晩年、パラノイアであったのではないか、と司馬は想像している。
ひとりの老人が、彼の国の人たちの日本嫌いの元凶であるとすれば、
たしかにやりきれない、というほかに言葉はない。
司馬流歴史小咄
2巻までと比べると「この国のかたち」というテーマからちょっと離れたかなぁという印象を受けました。相変わらず歴史上のエピソードは豊富なのですが、「日本(人)とは何か」を読者に考えさせる内容としては少し物足りないような気がします。
ただ、それはこのシリーズの趣旨に照らしてそう感じるだけであって、お話そのものの面白さは相変わらずです(特に平安遷都は面白かった!)。
あえて「歴史小咄」集として評価したいと思います。
一服の清涼剤
本シリーズは司馬氏が「新しい日本の憲法の枠組みを作るための土台」作りとして企画したようだ(追悼番組での井上ひさし氏の談話)。そのため、シリーズとして日本に元々存在する美しい精神を綴った小話を集めて全体を構成する形式になっていると思う。
前二作が上述の通り、日本人の精神の美しさを語った挿話の集まりであるのに対し、本作は同じ形式でも、奈良時代から明治時代までの日本の歴史の流れを検証するという意図があると思う。司馬氏が自身も従軍したあの戦争(の責任者)を嫌悪していた事は周知だが、本作において明治時代のある時期に日本の目線がドイツ一辺倒になった事が、統帥権と絡んで、あの戦争に繋がった事を指摘している。
文章は簡潔で無駄が無く、読者に日本の過去と将来を自然に考えさせる一服の清涼剤のようなエッセイ。
文藝春秋
この国のかたち〈4〉 (文春文庫) この国のかたち〈2〉 (文春文庫) この国のかたち〈5〉 (文春文庫) この国のかたち〈6〉 (文春文庫) この国のかたち〈1〉 (文春文庫)
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